大手ハチミツ製造メーカーの加藤美蜂園本舗が製造するサクラ印のハチミツに、基準値(0.01ppm)を超える除草剤グリホサートが残留(0.05ppm)しているとして、週刊新潮が報じています。
これを受けて加藤美蜂園本舗は、「一部週刊誌の報道に関しまして」と題した見解の中で、ハチミツの残留農薬の基準が0.01ppmから0.05ppmへ、引き上げられることを引用し、アルゼンチン産およびカナダ産のハチミツのうち、基準値0.01ppmを超える製品を念のため、自主回収するとコメントしています。
また、同コメントの中で、「はちみつに残留するグリホサートの基準は個別設定されておらず、一律基準の 0.01ppm が適用されており、この基準は諸外国と比較しても、極めて厳しい基準となっている。(グリホサートの残留基準値の例/カナダ:0.1ppm、EU:0.05ppm)」として、あくまで健康上の被害はないとの立場を主張しています。
グリホサートについては、当ブログでも「除草剤の発がん性や内分泌撹乱性、身を守るためにわたしたちにできること」で指摘したように、世界保健機構(WHO)の国際がん研究機関(IARC)が発がん性があると認め、特に欧州では前面禁止に向け動いている一方、日本ではむしろ残留基準値を引き上げています。
今回の騒動を受けて、SNS上には一部メーカーの商品は今後買わないと言った意見が見られますが、確かに基準値を超えていることを知っていながら、販売し続けていたことについては、消費者を蔑ろにした態度だと非難されてしかるべきですが、たとえ基準値を超えなかったとしても、ことはそれだけで解決できるものではありません。
グリホサートが除草剤として認められ、使われている限り、わたしたちの健康が知らずに蝕まれる不安と恐怖から逃れることはできません。
これは除草剤の問題に限らず、環境問題全般にいえることですが、欲しいものを安く大量に求める消費者を満たすために、資本主義というシステムが招いた災いといえるかもしれません。
資本主義とは、資本が無限に増殖することを信じる、一種の信仰です。これをこれからも信じる限り、奢侈が美徳とされ大量に捨てることが善とされることになります。こんな社会をもはや誰も望んでいません。
岸田首相は「新しい資本主義」を標榜しています。それは主に格差是正という意味で使われています。本来資本主義や市場原理主義は、富を効率よく生み出す優れたシステムです。これ自体が問題なのではなく、富をうまく分配できないことが今問題になっています。その意味で、一部に偏るのではなく公平に分配するためには、政府の役割は大きいといえるでしょう。
しかし、今求められているのは政府による公平な分配だけではありません。サステナブルな地球環境を守るためには、わたしたちの意識も地球レベルに引き上げる必要に迫られています。
ルソーは、社会全体の公共の利益を考え優先させる姿勢を一般意志と名付け、各人の身体と力、権利を共同体に譲渡し一般意志の下に置くことを優先させることで個人は自由になると述べています。
社会を地球に言い換えれば、地球全体の利益を考え優先させることに、我々の身体と力を注ぐことで、我々は真に自由になることができるということになります。
話を除草剤に戻せば、農薬は経済合理性からみて効率がよい優れたものですが、一方大地の生命力を奪い、地下水や川、海を汚染するという意味で地球に負荷をかけています。では除草剤の使用を一切禁止すればいいかというと、それが現実的でないことも事実です。
現実を考慮しつつ、できるところから変えていく、その第一歩が合理性と効率を追求して経済を成長させることを優先するよりも、環境に考慮した地球と人にやさしい社会へと変えていこうとする我々の意志にかかっていると言えるでしょう。