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崖っぷちに向かって高速で走るバス地球号の中ではドンチャン騒ぎ
京都会議で決定した各国の平均六%削減(一九九〇年水準から)を完全に実行したとしてもそれだけでは不十分です。
この6%は会議をまとめるための見せかけの目標であり、実質は2、3%削減にまでしかいかないだろうといわれています。
アメリカは自国の経済発展をやめたくないために排出権取り引きなどという、とんでもない提案を持ち出しました。これにはアメリカ全体の広大な森林がCO2をたくさん吸収する代わりとして、削減義務を免れようという意図があります。
現実にはCO2の総量の7分の1に当たる48億トンを出しているアメリカ、34億トンの中国そして日本などの国々が6%も削減するだろうかという疑問があります。
これまでの経済成長を第1に考えていくしかたに沿って、生活水準を今後も上昇させていこうするならば、遠くない将来に地球は壊滅するだろうということは否定できません。
中国や発展途上国の生活水準が、今後平均的伸び率を大きく上回る形で急上昇した場合については、計算外ですから、この猶予期間はもっと短くなることもあります。
にもかかわらず、この急迫した事態に対して、何も感じていないか、あまりに物質的な価値観に浸りきってしまい、目先のこと以外には鈍くなっているのが日本人も含めて人類の現在なのです。
これは、ちょうど疾走するバスがいまや崖っぷちに向かって暴走しているのに、転落して死ぬという実感の持てないままに飲み食いをし、カラオケに浮かれてドンチャン騒ぎをしている乗客にたとえられます。しかも、国の首脳も政治家も官僚も企業もプレーキを踏む気配はありません。(SDGsにしても資本主義経済を持続させるための方便でしかない)
政府、行政にもメーカーにも期待できないとすれば、私たちグリーンコンシューマーが目覚めて、ライフスタイルを変えていく以外にはないのです。
しかし、こうした実践が一部の人々の間でなされていたとしても、それをやっている当人でさえもが、このような努力で本当に間に合うのだろうか、という疑問をぬぐいきれないというのが実態ではないでしょうか。
バスの中でドンチャン騒ぎをしている人々よりはよほど目覚めているにしても、自分のしていることが着実に明るい未来の地球社会の展望へとつながっているという感覚が持てずに、せめて自分だけは、せめてこれくらいは、と努力しているにすぎないとしたら、なぜそんなことがいえるんだ、せっかく努力している人々の行為を軽んじるつもりか、と反論が出てくるかもしれません。
それに対してお答えしましょう。
「やめましょう」「おさえましょう」 「しないようにしましょう」という行動規制が、エネルギー的に高いものになるはずがありません。むしろ快楽や安楽や快適さや便利さを追求する無意識のパワーに負けてしまいます。
それよりも、生命の必要性を越えたあくなき消費欲求と過剰生産のサイクルが生む地球環境破壊の進行は、はるかに速い。
ここで環境問題に取り組む市民団体とか研究集団、あるいは個人によるリサイクルやエコロジ一運動の掲げてきた以下のような項目にうかがえる取り組み方の特徴を見てみます。
- 冷房の温度を1目盛りおさえましょう。
- 古新聞、空き缶はリサイクルしましょう。
- 買い物のとき、ビニール袋をもらわず持参しましょう。
- 生ゴミは堆肥にしましょう。
- 使い捨てのナプキンはやめましょう。
- お箸を使い捨てにしないようにしましょう。
- 紙コップは使わないようにしましょう。
食のスタイルを改善すれば意識が変化する
これは聞いた話だが、外国と取り引きしていた関係でそれまでに麻薬などをやり、捕まって刑務所に入った経験のあるミュージシャンがいました。あるとき彼と同業の、当時アメリカで活躍中の日本の音楽療法家と出会いました。その人からこんなに気持ちのいいものがあるよ、ということで世界平和の祈りというものを教えられました。すると、それまで手のきれなかった麻薬をすっかりやめてしまい、祈りによる平和運動の方に専念してしまったそうです。
もう一つあります。やはり若いときにマリファナを吸って刑務所に入った人が、あるときから瞑想を知ってこれに親しむようになり、生活が一変しました。マリファナはもとより煙草も酒も嗜まない生活に入っていったというのです。
いずれのケースにも共通しているのは、化学作用により味わう快楽以上に気持ちのよいものを発見することで、それらへの耽溺から解放され、依存状態を克服していったという点です。
つまり、これらの事例が教えているのは、禁欲に向かうよりも、より高い喜びにたどり着くことで、以前執着していたものを容易に手放すことができるということにほかなりません。
意識レベルが上昇したのだともいえます。当然、血液や呼吸も変化しているはずです。とくに瞑想は呼吸をくつろがせると同時に、思考をゆったりとさせ、感情を鎮める効果を持ちます。
ヒマラヤのヨガ行者などに継承されている伝統的な呼吸法は、人間の意識を変えるための最も即効性のある科学的な方法であり、現代ではトランスパーソナル心理学でのブリージングなどのゼラピーにも取り入れられています。
祈りや瞑想という方法を使わないで意識を変える。そうなると食生活の改善しかありません。すべて波動に還元されるとすれば、食物によっても意識変革は可能なはずです。
そして、地球環境への責任意識を高めてゆくのは、実は食を改めることから始めるのが最も速い。一般向けにも影響力があります。これがわかっている人はまだ少ないかもしれません。
だからといって、従来からあったように、ただ無農薬・無添加の米や野菜やその他の食品以外は絶対に買わないように、というのではありません。
「これを食べてはいけない」というのも、「無駄使いをしてはいけない」というのも同じことです。やっぱり、強制されたもの、外側から押しつけられたものであり、頭に植えつけられた観念にしたがって行動を制御していくことには変わりません。
「してはならない」型の地球の守り方からカラダに聞くやり方へ
これをしてはいけない、あれをしてはいけないという禁欲的な意識ばかりとなっても、地球環境問題を解決するにはあまり有効ではありません。否定形の禁止とか命令は頭でカラダをコントロールすることです。だから面白くないばかりか、カラダ本来の知恵や喜びが退化してしまう。
かといって好き放題に飲み食いし、快楽をムサボレというのではありません。化学物質入りの食品ペットボトル入り飲料、スナック菓子、ファーストフードなどをどんどんとっても平気というのは、むしろカラダがおかしくなっているのです。
欲求不満、ストレス、無気力、イライラが引き金となって、モノを買い集めたり、無駄食いしてうさ晴らしするパターンにはまってしまいます。
カラダにいいものは喜びや満足につながります。その味わいを味わっていかないと、そういうものに鈍感になってしまう。そうすると、自分で見分ける能力がなくなり、外の情報に引き回されてニセ物にでもお金を払ってしまうのです。
その結果、健康や生きがいを失っていきます。経済発展のために不必要なモノをつくり、モノをやたらと消費させ使い捨てさせる。モノを持つことで無力感や不安や自信のなさをごまかすことができのです。
科学上の発見や芸術上の創造は、禁止や命令によって生まれたためしがありません。子供のようなのびのびした柔軟な心、無邪気さ、探求心、内的な促し、インスピレーション。こういったワクワク感を信頼して好きなことを続けていく中からしか創造的なことはできません。
反対に恐怖や制限はむしろエネルギーを収縮させ、行動をマンネリ化させていきます。誰も恐怖や罪悪感など持ちたくありません。誰も物やお金に依存していたくはありません。
「脳内革命」の本が爆発的に売れたのはなぜかを考えてください。脳から出る快楽物質が健康にいいというアビールが受けたのは、本能的には人間は喜びを求め、喜びこそが生命活動における活力源となっているという事実に多くの人々が共鳴したことを意味しています。
人が十分に豊かであるという感覚に浸り、喜びを味わえるのはどういうときでしょうか。必要な物を必要に応じて必要なときに得られるというときではありませんか。「もっと」を求める貧欲さは実はいつも何かが足りないと思っているからではありませんか。
それゆえ、満足するという感覚を忘れることがいちばん恐ろしいのです。満足するという感覚を忘れると、人はどこまでも満足を求めてさまよいます。地球環境を救おうと叫ぶ前に、カラダの中の喜びの声や自然との接触を取り戻していくことが必要だと思います。
そのためにもまず、口に入る食物選びに責任を持つことです。 除草剤をやめることはその初歩として当然のことです。
今日までに最悪の環境をつくり出したのは人間のエゴですが、感謝をしないで一方的に自然から収奪してきた意識そのものを根本的に変えることなしに、周囲の環境だけを変えようとしても無駄でしょう。なんでも行政にやってもらおうという発想もおかしい。リサイクルや節約が環題問題への唯一のアプローチなのでもありません。
自分の意識と身体を変える方が先決といえます。もう少し人類の感受性がまともになれば、ひどい環境に耐えられなくなって、どんどん環境を変えていこうとするはずです。
まずは自分の食べるものに責任を持ち、身体を大切にする。やたらと薬を服用したり、なんでも医者まかせにすることが健康管理ではありません。
ライフスタイルの意識的な選び取りによって、自分の体の健康を守り、意識の健全さによって環境を守る。本来ならなんら知識がなくても体は健康にいいものとそうでないものとを区別できます。その機能が失われてしまったら、それを回復させるため、食べ物の正しいものを選んで口に入れる。
やがて、化学物質入りの食物によって、それまでいかに身体がおかしくなっていたのかが実感できるときがくるはずです。21世紀型の新しいライフスタイルがそのまま地球環境問題への解決策につながります。